てるみくらぶ破産。海外旅行保険で旅行代金は戻るのか?を解説
2017.03.28
(3月31日 「チャブ損保が保険料返還を案内」を記事末尾に追加しました)
格安海外旅行業者の「てるみくらぶ」が破産しました。負債額は150億にのぼるようです。
発表によると、ツアー客が見込み数に達しなかったことに加えて、円安の影響による支払額の増加により倒産に追い込まれたとのことです。
海外旅行保険で旅行費用は補償されるのか?
てるみくらぶの突然の倒産に、既にツアーを申し込んだ方が気がかりなのが「すでに支払ったツアー代金が返金されるか?」だと思います。
ツアー申込者の中にはすでに海外旅行保険の加入手続きを済ませている方も多くいると思います。
補償の中に「旅行キャンセル費用特約」や「旅行変更費用担保特約」が含まれている契約をしている方は、この特約により旅行の費用が戻ってくるのではないかと期待している方もいるかもしれません。
確かに「旅行キャンセル費用特約」や「旅行変更費用担保特約」では、旅行をキャンセルした場合に負担した費用も補償対象となります。
ただし補償対象となるのは、キャンセル理由が被保険者や同行予約者が死亡・入院した場合等の所定の条件に限られています。
この所定の条件の中には、「旅行会社の倒産により旅行が中止になった場合」は含まれていません。
したがって、残念ながら今回の件で、旅行の費用が海外旅行保険で補償されることはないでしょう。
実際に海外旅行保険の約款の記述を確認してみました
たとえば損保ジャパン日本興亜では、「キャンセル費用バックアッププラン」の説明は以下のような記述になっていました。
キャンセル費用バックアッププラン
被保険者、被保険者の配偶者または1親等内の親族の方の死亡、傷害または疾病による入院(以下「キャンセル事由」といいます。)により、被保険者が予約していた特定のサービス(旅行等)の提供を受けられなくなった場合、被保険者または被保険者の法定相続人が負担したキャンセル費用から免責金額(キャンセル事由の発生1回につき1,000円またはそのキャンセル費用の20%のいずれか高い額)を差し引いた金額をお支払いします。
てるみくらぶから一部の返金はあっても、全額補償はとても難しい
では、旅行費用は全く返金されないのでしょうか?
てるみくらぶは、一般社団法人日本旅行業協会の保証社員(正会員)であり、こちらの協会で弁済制度の適用を受けられます。従って、こちらの協会がてるみくらぶの債務に対して弁済をしてくれます。
しかし、てるみくらぶへの弁済限度額は1億2000万円で、今回の債権総額(約100億円)はこの金額をはるかに上回るため、旅行費用の全額補償はかなり難しいでしょう。
今後、旅行会社の倒産に備えるには。保険の活用は?
楽しみにしていた海外旅行。突然に旅行会社の都合で旅行を中止され、支払った旅行費用が返ってこないのはとても酷な話です。
てるみくらぶ以外にもネットを使った格安の旅行会社はたくさんあり、今後も同じような被害が出ないとも言い切れません。
そのようなリスクに対応できる海外旅行保険の開発を期待したいところですが、補償範囲が広がればその分だけ保険料が上がってしまいますし、旅行者がその費用を負担するというのもちょっと違うような感じがします。
そもそも今回のような被害は海外旅行保険で対処すべきものではないと個人的には思うのです。
やはり旅行業界団体が顧客救済制度を構築(あるいは強化)し、たとえ旅行会社が倒産したとしても顧客には影響が出ないような仕組みが作られることを期待したいですね。
(3月31日に追記しました)
チャブ損保が保険料返還を案内しています。
チャブ損害保険(旧 エース保険)が 「てるみくらぶから加入された海外旅行保険の保険料代金を返還する」と発表しました。
てるみくらぶはチャブ損害保険と保険販売提携をしていたので、彼らが販売していた海外旅行保険の多くはチャブ損害保険のものです。今回の事件を受けて、チャブ損害保険でも保険加入者の保護が必要だとすぐに判断したのでしょう。
てるみくらぶから加入者情報を得て、個別に連絡をとって保険料返還の案内をしていくとのことです。
旅行代金に比べたら海外旅行保険料は微々たるものですが、被害者にとってはこのような迅速な対応はありがたいですね。