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外国人の医療費未払いを補償する病院向けの保険、あいおいニッセイ同和が発売

2019.04.29

外国人旅行者

あいおいニッセイ同和損保は、日本国内の医療機関で治療を受けた外国人患者の医療費未払いに備える保険を始めることを公表しました。

グローバル化の影響や2020年に開催されるオリンピックの影響で、日本へ来る外国人労働者や観光客が増加傾向にあります。
そのこと自体はとても良いことですが、訪日外国人が増えることで外国人患者による医療費未払いが問題となっています

参考:私たちの生活にも影響する。外国人観光客増加で増える医療費未払い問題

増える訪日外国人 無保険での来日も

日本は国民皆保険制度があるので、健康保険の加入者は医療費支払いを原則3割負担で済みますが、健康保険に加入していない場合は医療費が全額自己負担となり高額になります。
日本に3ヶ月以上滞在するのであれば外国人でも日本の健康保険への加入資格がありますが、短期間の滞在の場合は自身で海外旅行保険に入っておくなど医療費に備える必要があります。

しかし、海外旅行保険に加入せずに来日する外国人も少なくありません。
日本旅行中に体調を崩し病院で治療を施してもらっても、医療費をすぐに支払うことができずにそのまま帰国してしまうケースが実際に多くあります

帰国後に医療費を支払ってくれれば良いのですが、連絡が取れなくなって踏み倒されることもあるようです。
踏み倒された医療費は、医療機関が負担することとなります。その金額が増えれば、医療機関の経営に影響を与える可能性もあります。

今後、訪日外国人は増えることが考えられるので、この問題はさらに深刻化するでしょう。

病院向け保険では根本的な解決にならない

今回、あいおいニッセイ同和損保が販売する保険は、医療費未払い問題に備え、経営悪化を免れるという意味では良い保険ですね。
ただ、これでは医療費未払い問題の根本的な解決にはなりません。

この問題を解決するには、来日する外国人に医療費への備えを義務付けるしかないと思います。

民間の損保会社では、来日後でも加入できる訪日旅行保険の開発・販売もして保険加入者を増やす努力をしていますし、今回は医療費未払いに備える医療機関向けの保険も開発しました。民間では、やれることはやっていると思います。

最終的には国が本腰を入れてこの問題に取り組むべきです。
そうでないと、いずれは日本の健康保険制度にも悪影響を与えるでしょう。
外国人を呼ぶことばかりでなく、そのことによるリスクについても国は考えて行って欲しいものです。


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