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増える日本への外国人旅行者。医療費未払いを防ぐためには海外旅行保険の加入が重要に。

2017.08.03

外国人旅行者

日本を訪れる外国人韓国客の医療対応が問題となっています。

外国人患者の受け入れで、最も大きな問題は医療費の未収問題です。
昨年に近畿運輸局が大阪府の医療機関を対象に行った調査では、訪日観光客を受け入れた医療機関の30%で医療費の未払いが発生しています。

国に帰られたら医療費回収ができなくなる

健康保険に加入している日本人ですと窓口での負担が3割と少額ですが、未加入の外国人は全額負担する必要があります。医療費が思いのほか高くついてしまい、その場で支払いができずに帰国してしまった外交人旅行者もいるのでしょう。

帰国してしまえば未払いの回収は難しく、距離や言葉の問題もあってやむなく回収を諦める医療機関もあります。未収金が多いと医療機関の経営にも関わってきます。

3年に1度行っている厚生労働省の調査によると、2015年度の調査では1医療機関あたり5018万円の未収金があるとの結果が出ています(全ての未収金が外国人患者のものであるわけではありませんが)。
外国人患者の医療費未払い問題に関して対策を講じなければ、外国人患者の受け入れを拒否する医療機関が今後多く出てくるでしょう。

また国民健康保険の加入義務がある3ヶ月以上滞在する外国人の中にも、自己負担分を未払いのまま帰国してしまう人もいるようです。
医療費未払いの外国人が増えれば制度そのものの存続が危ぶまれます。日本の健康保険財政は非常に厳しく、純粋な健康保険料の収入だけでは赤字状態が続いています(国庫金等があるため、表面上は黒字です)。
そのような状態で医療費を支払わない外国人が増えると、外国人が健康保険に加入できなくなることも考えられます。

医療機関側の工夫にも限界も。

医療費の支払いに関することも含め、外国人の患者をスムーズに受け入れる体制を強化するために「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」があります。
現在のところ全国で認証されている医療機関はわずか29ヶ所(東京都内では8ヶ所)ですが、今後は増えるかもしれません。

ただ、外国人患者の受け入れ体制を整えるには医療機関には多大な労力が必要です。
コミュニケーションを取るために医療通訳等の対応はもちろん、医療費を確実に支払ってもらうために事前に保険の有無の調査や、パスポートの確認等の事務の手間が必要となります。

スタッフの多い大きな病院であればそういった対応も可能でしょうが、外国人患者は大きな病院だけにかかるわけではありません。何度も来日をする外国人観光客の中には地方へ観光へ行く方も増えています。

大きな病院のない地方で病院にかかる外国人患者も決して0ではありません。そうなると、病院の規模に関係なく外国人患者の対応を迫られることとなりますが、少ないスタッフで経営している小規模の医療機関にとっては、受け入れ体制の強化は難しい問題です。

来日する外国人旅行者には海外旅行保険に加入してもらうべき!

多くの日本人は海外旅行へ行く時には海外旅行保険に加入し、医療費の負担や医療機関でのコミュニケーションに備えます。
それに対して来日する外国人観光客の旅行保険加入率は、わずかに30%です。

万が一の備えもせずに来日をし、医療費を支払えずに帰国するなんて考えられないですね。

日本人の「おもてなし」の精神で、外国人観光客が気持ちよく過ごせるような体制を整えることは大切ですが、受け入れる側だけが努力をする必要はないのではないでしょうか。来日する側も、日本で医療を受けるときの備えをしてきて欲しいものです。

特に医療費の未払い問題は重要ですので、他国と同様に医療費の前払い制度に変えても良いのではないかと思います。そうすれば旅行保険等で医療に備えて来日する外国人が増えるでしょう。

国として、来日する外国人に対して保険加入の推進を徹底して欲しいですね。


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