登山保険で不正請求相次ぐ!ネパール政府に保険会社が警告。
2019.02.15
ネパールで横行する不正な保険金請求に対し、「政府が取り締まりを行わない場合、旅行保険の適用を除外する」と保険会社が発表しました。
ネパールはヒマラヤ山脈をはじめとする自然が豊かな国です。
ハイキングやトレッキングなどを目的にネパールを訪れる方も多いのですが、残念なことに現地の登山業者により、「登山客に対して不要かつ高額なヘリでの下山を無理やり勧める」といった不正が横行しているようです。
しかも登山業者だけではなく、現地の旅行代理店や医療機関等も不正に関与しているとのことです。
保険会社からの警告内容について
旅行保険に加入している登山客は、救助費用や医療費用を保険金で支払ってもらうのが一般的ですが(そのための保険ですので)、不当に高額な費用の保険金請求が繰り返されれば、保険会社にとっては大打撃です。
保険金で費用を賄うことを分かっていて不当に高額な請求をするのは、保険金詐欺といっても過言ではありません。
この現地の組織ぐるみでの保険金詐欺に一石を投じたのが、アイルランドに拠点を置く「トラベラー・アシスト」という、旅行保険会社の代理で医療救助を行なっている会社です。
トラベラー・アシストはネパールの観光相に対し、「不正な会社に対して法的な措置と取らない場合、ネパールでの旅行保険の証券発行を取りやめる」と警告しました。
つまりトラベラー・アシストと取引のある保険会社の旅行保険については、ネパールでは無効になるということです。
旅行保険が不適用となると、ネパール観光業は大打撃
旅行保険が使えなくなると、ネパールを訪れる観光客は体調を崩した時に医療機関には全て自費で行かなくてはなりません。
ネパールの医療機関は前払い制となっているので、現地で体調を崩したら先にお金を払わないと治療を受けられません。
しかも外国人向けの衛生的な医療機関の医療費は高額です。
登山をするのであればあらかじめ遭難等に備えてお金を用意しておかないと、救助を頼めなくなるかもしれません。
このような状況になるのであれば、ネパールを訪れたいと考える人は確実に減ります。ネパールは農業以外に盛んな産業はないため、観光客の減少は大打撃でしょう。
ネパールはこれまで国として黙認してきた保険金不正請求問題について、真摯に対応していく時期となっています。
(以下はニュース記事からの抜粋です)
ネパールでの旅行保険適用停止の恐れ、保険業者が政府に最後通告
【AFP=時事】ネパールで横行する、登山客のヘリコプター救助をめぐる不正の取り締まりに政府が動かなかった場合、同国を訪れる観光客は来月以降、旅行保険の適用を受けられなくなるとの警告を、国際的な保険業者が24日、発した。
昨年1年間にネパールを訪れた観光客は史上初めて100万人の大台を突破したばかりだが、保険会社が大挙して適用を停止すれば、同国の生命線である観光業が深刻な打撃を受けかねない。
AFPは昨年の調査報道で、現地の登山業者が観光客に不要かつ高額なヘリによる下山を無理強いしたり、一回の飛行に対して数件の保険金請求を行ったりする不正の実態を明らかにした。
ヘリによる救助が2018年の1~5月で1300回、保険金請求額が650万ドル(約7億1000万円)超に上ったことを受け、ネパール政府は6月に調査に着手した。
ネパールの観光相はAFPに対し、「対応策にしっかりと取り組んでいる。この点に関して政府は妥協しない」と強調した。