海外旅行保険で保険金詐取。海外に行かなかったことがバレて逮捕
2017.06.30
立川に住む男が、2011年に海外旅行保険の保険金を詐取した件で逮捕されました。
海外へ行かずに保険金を受け取る
海外旅行保険は、「海外へ行っている間の病気やケガなどを補償する保険」です。海外へ行かなければ意味のない保険なのですが、この男は海外へ行くこともなく保険金を受け取りました。
さて、保険金を受け取るには、様々な書類が必要となります。
「くしゃみをしてぎっくり腰になり入院した」ということなので、おそらく傷害治療費用保険金を請求したのでしょう。
例えば、ジェイアイ傷害火災保険では傷害治療費用保険金を請求するには、規定の保険金請求書以外に次の書類が必要となります。
・事故証明書
・医師の診断書
・負担した費用の明細書および領収書
・パスポートのコピー(写真のページと出入国のスタンプ欄)など
保険会社によって必要な書類は異なりますが、保険金を請求するには何枚もの書類を用意する必要があります。保険金を搾取した男は、これらの書類を全て自身で偽造したそうです。
恐らく男は初めから保険金を詐取するつもりで海外旅行保険へ加入したのでしょう。
渡航先をフィリピンとしたのもフィリピンの医療費が高額であるので、多額の保険金を請求できると思ったからでしょう。それにしても、40万円の保険金を得るために逮捕されるリスクを犯し、手間をかけて必要な書類を偽装するのは馬鹿げていますね。
保険会社は書類の偽装に気づかなかったのか
提出された書類が全て偽装されたものであったのに、保険会社が保険金を支払ったのはなぜでしょう。
偽装された書類が完璧だったのでしょうか。1日に何件もの保険金請求の書類の処理をするので、チェックが甘かったのでしょうか。
きっと原因は1つではないでしょう。
ただ、保険金請求が来た時に海外へ渡航したかの確認は必要だったと思います。確認をしていればその時点で不正を見抜くことができました。
保険会社によっては保険金請求の際にパスポートのコピーは必要ありません。
海外旅行保険は海外へ行く人を対象としているため、「保険金請求してくる人=海外へ行った人」という前提があるからかもしれませんね。
しかしこのような事件が起こってしまった以上、今までパスポートのコピーが不要だった保険会社も、保険金請求の際にはパスポートのコピーを提出してもらい出国の事実を確認する必要があるでしょう。
海外旅行保険に限ったことではありませんが、保険金の不当な支払いが増えると後々の保険料の値上げにつながります。保険金請求に関しては慎重に行い、このような事件を未然に防いで欲しいですね。
(以下はニュース記事の原稿です)
海外でぎっくり腰と申告、保険金詐取の疑いで男逮捕
海外でぎっくり腰になって入院したとうその申告をし、保険会社から保険金をだまし取ったとして、清掃会社のアルバイトの男が警視庁に逮捕されました。
逮捕されたのは、東京・立川市に住む清掃会社のアルバイト、丸山明容疑者(52)で、2011年11月、フィリピンへ旅行した際、くしゃみをしてぎっくり腰になり入院したとうその申告をして、保険会社から保険金およそ40万円をだまし取った疑いが持たれています。
丸山容疑者は実際にはフィリピンに渡航しておらず、保険会社に提出した書類も自ら偽造していたとみられています。
取り調べに対し、丸山容疑者は容疑を認めているということで、警視庁は余罪もあるとみて、さらに詳しく調べています。